議論のアンチ・パターン
これまで、議論に関する記事をいくつか書きました。
「ギロン議論」 「3つの議論」
今回は、議論における禁じ手を紹介したいと思います。 限りなくタブーに近い、コレをやったら嫌われる、もしくは、(議論の)相手にしてもらえなくなるパターンです。
1.論点ずらし/論点はずし
2.質問攻め
3.オウム返し
4.愚弄・嘲笑
5.警告「コメント削除」
6.脅し「IPアドレス公開」
7.詭弁だ!
8.へ理屈だ!
9.暗示/憶測
10.個人攻撃
【1.論点ずらし/論点はずし】
このまま本題で進めて行っては勝てないと思った相手が、議論を混乱に陥れるために行う戦術です。 たいていは自分の得意分野に誘導して有利に議論を展開したくて「論点ずらし」を行うので、この策略にハマると相手の思うがままになってしまいます。
対策として、「それは本題と違う。」と指摘し、議論が脱線しないよう注意すること。
【2.質問攻め】
議論と関係ありそうで、実は無い。という質問を続けることによって対戦相手の疲労を狙う。 質問は、ほぼ無限に繰り返すことができるのに対し、回答には限界があります。 回答できなくて黙っていると、「質問に答えられないのなら、敗北とみなす。」と、一方的に勝利宣言されてしまいます。
議論を混乱させるための質問攻めであることに気づかず、議論の参加者や観衆の1人が不用意に回答する場面がしばしば見受けられます。 これは、議論が脱線するばかりでなく、質問者はその回答の中から自分に有利な発言のみを取り出し、勝手に議論を終わらせようとします。 質問攻めのワナを見抜けず、(善意で)回答する者もまた、アンチ・パターンの使い手に加担することになるのです。
対策:「その質問は、議題とどう関係するのか?」と確認してみる。 相手(=最初の質問者)が狼狽するようなら、質問攻めの疑いが強い。
【3.オウム返し】
相手の主張をそのまま自分の主張として返すこと。 反論になっていない場合が多いのですが、オウム返しをした本人は論破したつもりになっています。 論理的な説明ができるのなら、オウム返しなどせず、別の切り口から反論すれば良い。
ただし、相手の主張をそのまま返すことによって、相手の論理矛盾が突けるのであれば、適用は可能。(場合によっては使って構わない。) 「それはオウム返しであり、アンチ・パターンだからイクナイ!」と、脊髄反射する輩がいるかもしれないからね。
【4.愚弄・嘲笑】
人は誰しも、自分自身や自分の意見がバカにされたら、うろたえ、傷つくものです。 そして、他人から嘲笑されないよう、常に気を遣っています。
議論において、相手を愚弄したり嘲笑したりする者は、人間の羞恥心や自尊心を揺さぶる攻撃を仕掛けてきているワケで、相手を硬直化させて感情的な発言を引き出すのが狙いなのです。
バカにされた相手の、冷静さを欠いた発言は論理性に乏しく根拠も弱いので、その甘いスキを狙って反撃しやすくなります。 堅牢だったハズの相手の守り(論理)が、急に崩れてしまうので、反論者にとって「愚弄・嘲笑」は有効な武器になる、と考えられているようです。
しかし、本当は、愚弄・嘲笑を行った時点で、その人物は議論する資格や資質を失っている。と言えます。 議論云々を語る前に、「人としてどうか?」と思います。
対策:愚弄されても動じない。 嘲笑してくる相手とは議論しないこと。
【5.警告「コメント削除」】
荒らし・粘着の類でなく、理路整然と反対意見を述べる相手に対して、「あなたのコメントは以後、削除します。」と警告すること。 「反論者にこれ以上の発言を許すと自分の主張や立場が危うくなるので困る。」といった自己保身が働いているものと思われます。
これをWeb上の議論でなく、リアルな議論に置き換えて表現すると、「あなたの発言は以後、かき消します。」と言論封鎖しているのと同じであり、議論の場で「反論者は黙れ。」と言うことが如何に理不尽なコトかが分かるハズです。
結局、あなたの議論相手は一切の反論を受け付けない狭量な人だった、ということでしょう。
【6.脅し「IPアドレス公開」】
自宅からISPを通してネット接続している多くのユーザには、さほど脅威ではないものの、会社や学校からアクセスしてネットを利用しているユーザにとって、IPアドレスの公開は会社名や学校名を特定されてしまう可能性があります。
議論において、ブログ管理人が「IPアドレスを公開するゾ!」と脅すことは、反論者のトーンダウンを狙った作戦です。 言い換えると、「IPアドレスを公開されたくなかったら、余計な反論をするな!」と、発言規制を行っているのです。
しかしながら、前述の通り、ISPの場合は一旦接続を切ってしまえばIPアドレスは変更されるので問題ありません。 会社や学校からアクセスしている場合でも、分かるのは企業名や学校名までです。 気にする人はするだろうし、気にしない人もいるでしょう。 会社名( or 学校名)がバレて困る人は、仕事中( or 授業中)に関係ないサイトを見なければいい。 また、ホンモノの荒らしは、プロキシ経由などの手段を使ってIPアドレスを偽装するので、IPアドレス公開の警告は全く意味がない。
問題なのは、「IPアドレスを公開するゾ!」の脅しによって、反論者に対するブログ管理人の姿勢が浮き彫りになることです。 自分の意見の賛同者だけを囲って、異論・反論は除外するような人かどうかがIPアドレスの扱い方で分かるかもしれません。
参考:NGワード:IP晒すぞ、ゴルァ!(むだづかいにっき♂さん)
【7.詭弁だ!】
強い根拠を持つ主張に対して、「これは論理的な反論ができそうにないなあ。」と感じた相手が苦し紛れに放つ言葉。 根拠のしっかりした意見Aに対して、「それは詭弁だ!」と言うことで、議論の参加者に「ああ、Aの主張は説得力があると感心していたけど、実は詭弁だったんだ。」と思わせるのが狙い。 一種の意識操作です。
対策:ある主張が本当に詭弁だと思ったら、「詭弁だ!」などと言わず、率直に、アヤシイ論理を突けばいい。 「こういう理由でココがおかしいよ。」と。
参考:NGワード・詭弁です!(むだづかいにっき♂さん)
【8.へ理屈だ!】
明確な論理の提示を前にして、自分の主張を論理的に説明することのできない相手が、悔しさの余り言う言葉。 自分の思考能力の乏しさを露呈するだけなので、あまり言わないほうが良い。
【9.暗示/憶測】
自分の主張をワザと明確にせず、暗示を使って意見を述べる方法。 議論の参加者が、意見の内容を察して解釈してくれることを期待する。 もし、反論者が現れたとしても、主張がハッキリしていないことを利用して、「私はそんなことは言っていない。読解力がないのか?もっとよく読んでくれ。」と、いつでも逃げ道を確保できる卑怯なやり方です。
対策:暗示に対しては、「で、何が言いたいの?」と、主張を明確に聞き出すことが大事。
【10.個人攻撃】
議論の本題とは関係のない、個人の趣味嗜好や思想信条・交友関係などを持ち出してきてバカにしたりレッテルを貼ったりする行為。 議論において戦わせるのは「意見と意見」なのであって、そこに個人的な事情を絡めるのは「1.論点ずらし」にも該当します。
今後、パターンを追加するかもしれませんが、とりあえず。
〈追記 2005.8.26〉
続編を追加しました。 次回、「続、アンチ・パターン。」へ続く。
〈追記おわり〉
上述したような戦術は、議論の場で時々見受けられ、一部の人にとっての有効な手段として使われています。 これらの奇策を「アンチ・パターンだ」と見抜けず、そのまま放置しておいたら議論はおかしな方向へと進むでしょう。 不毛な議論は早めに打ち切るべきです。
もしも、議論の相手が上記に挙げた禁じ手を使ってきたら、それは、相手のほうが劣勢だということです。 または、相手が議論を「勝ち負けだ」と思っていて、議論に負けないためにアンチパターンを繰り出してきている。とも言えるワケで、これらのアンチ・パターンは、相手の「議論に対する考え方」が分かるリトマス試験紙にもなります。
マヤ:「パターン青!使徒です!!」
…違った;
「その発言はパターン『4.愚弄・嘲笑』に該当。よって、議論しない。」
とか、
「パターン『1.論点ずらし』と『2.質問攻め』か、ふふっ、そのテには乗らないよ~♪」とか、議論の心構えとして使えそうです。
~ 『斬(ざん)』さんより引用 ~
※さぁーあなたも自分の十箇条(別に幾つでもいいんだけど…)を考えてみようっ!
ということなので、私も、「議論のアンチ・パターン」を列挙してみました。 はてなブックマークとは関係ありませんけど。
〈追記 2005.9.3〉
反応集「アンチ・パターンに返答してみる」を追加しました。
〈追記おわり〉
トラバ送信先:
NGワード・詭弁です!(むだづかいにっき♂さん)
はてなブックマーク利用心得十箇条(『斬(ざん)』さん)
この↑記事の[参考]は、議論する上でも参考になります。
参考:
詭弁(議論のしかた)
詭弁の見抜き方(MorphyWiki)
「反対するなら対案を出せ」(kojidoiの癒し系非公正ブログさん)
批判に対する良い反応・悪い反応(他人の不幸は蜜の味さん)
逆リンク:
これをやったら嫌われるか相手にされなくなる(ENJOY Korea)
↑「ねつ造だ!」もアンチ・パターンですね。 根拠もなく、「捏造だ!」と訴えて来る相手こそ、印象操作を狙った発言の疑いがあるので要注意です。 無益な洗脳合戦は避けるべきです。
↑追記:リンク先が閲覧できなくなってしまいました。なんでだろ?
ブログ論を批判するときに注意すること(304 Not Modifiedさん)
関連記事:
議論は勝ち負けぢゃないよ
議論とは、相互理解である。
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Comments
オウム返しは便利なのですよ。
相手がやっていることをやり返すことで、その反応を見て、反省を促すことが出来ます。
何の反応もない場合、または、過剰なまでに怒りだす場合、いずれにしても。第三者の読者に対し、強烈なアピールをできます。
Posted by: えっけん | August 22, 2005 at 10:37 PM
えっけんさん
>オウム返しは便利なのですよ。
そうですね。 「言ってることと、やってることが違うぢゃないか!」という時に、同じ論理を用いて相手にぶつけてみるのも効果的。 それが、オウム返しです。
ただ、反論にすらなっていないオウム返しは無意味だな、と思ったので、アンチ・パターンに加えました。 でわでわ。
Posted by: TAKO | August 22, 2005 at 11:11 PM
こんばんは。
詭弁だ!はともかく「~を小学一年生レベルから勉強し直して来てください」と言った(言わされた)ことは何度かあります。
人として基本中の基本まで議論の上に載せられては、とても付き合えやしません。
別の言い方をすると、底辺の定理を共有できないから論理を交し合う意味がない、ってことになるかと思います。
Posted by: ピーちゃ♪ | August 23, 2005 at 12:35 AM
>「~を小学一年生レベルから勉強し直して来てください」
なんだか、自分の理解の方が正しい(だから勉強して理解してね)という前提意識があるような印象。
http://pon-s.tea-nifty.com/blog/2005/08/dialogue.html から引用しますが
> 本来は、論理の正当性・妥当性の高い主張が勝つのが議論の道理なのですが、「自分の意見は正しい。そして正しいほうが勝つ。」と双方(または片方)が思い込んでいるので、議論に「勝つ」ために、相手を「言い負かす」ために、「オレの意見が絶対に正しい。」と何度も繰り返される不毛な遣り取り。
典型的な「議論=言い負かし」の誤解例に思えます。
Posted by: 革命戦士 | August 23, 2005 at 02:49 AM
革命戦士さん
はじめまして。
>なんだか、自分の理解の方が正しい(だから勉強して理解してね)という前提意識があるような印象。
ピーちゃ♪さんのお相手がどういった人物なのかが分かりませんし、どのような議論が展開されていたのかも不明です。
ですので、これ以上、詮索してもしょーないかな、と思います。
議論の相手が本当にバカだったのかもしれません。 いや、もしかしたら、ピーちゃ♪さんが議論に負けじと相手を愚弄しただけなのかも?
おそらく前者(=議論相手に問題アリ)だったのでしょうけれど。
でわでわ。
Posted by: TAKO | August 24, 2005 at 03:38 PM
同じような立場にならないと理解されないでしょうね。
まーわからない方が幸せです。いやマジで。
議論を行う人は、決して「勉強しろや」で言い負かされたりはしませんし、それがわからん程には私もバカではないつもりです。
でも、何度も長い議論をやっていると、それ以上言いようのない状況がある訳です。
そんなことは言わずにスマートに議論を続けられる方が良いに決まってるんですけどね。
私が正しいとか正しくないとかは別に、こんなこともあるのね、という程度に見ていただけたらと思います。
Posted by: ピーちゃ♪ | August 27, 2005 at 10:52 PM