マナーを語るマナー
仕事以外で人に何かをやらせたい時、相手にマナーを守らせたい時、大きく分けて2種類の方法があると思います。
1つは、相手に納得してもらった上で動いてもらう方法。
もう1つは、相手を力ずくで押さえ込んで強制する方法。
前者の場合、その作業内容の程度によらず、依頼主との信頼性(=関係性)が重要な要素を占めることも多々あるワケです。
「仕事以外で、」と書きましたが、これは仕事にも通ずる話でしょう。
【はじまり、はじまり。】
ある町に、マナーに対する意識のとても高い、偉い学者さんがおりました。 小高い丘の一軒家に居を構え、かわいい助手のピノ(以下略)
ある日のこと、学者先生は電話のマナーについて考えておられました。
「電話が突然鳴ったら、みんなビックリして電話に出ないだろう。 驚いて心臓発作を起こす人もいるかもしれない。 そうなっては大変だ! 誰にでも優しい、電話のマナーを広めなければ。」
【マナー誕生】
心優しい先生は、一生懸命、みんなのための優しいマナーを考えました。 そして、良い考えを思いつきました。
手紙だ! 手紙を使えばいいんだ。 電話をかけたい相手に、あらかじめ「○月×日の△時□分に電話をかけますよ。」と手紙を送っておけば、電話をかけても驚かれることはない。
うん。 我ながら良いアイデアだ。 これなら、町のみんなに感謝されて、「バリアフリーに貢献したで賞」がもらえるかもしれない。
先生は早速、研究室の入り口に住所と電話番号を記した紙を貼って、ひと言、こう添えました。
電話をかける前に必ず手紙を送ること!
「うむ。また新たな、みんなのための世界共通ルールが完成した。」
満足された先生は、喜びと祝いの杯を傾けました。
【ある日の出来事】
しばらく別の研究に没頭していた先生の身に、思いもよらない出来事がありました。 研究室の電話が突然、鳴り響いたのです。 ビックリした先生は、いったい何が起こったのか最初は理解できませんでした。
ようやく、電話が鳴っていることに気づき、「手紙なんか届いてないけどなあ?」と、訝しい顔をしながら受話器を取りました。
「こんにちわ。Yahoo!BBです。ブロードバンド要りませんか?」
先生は怒りを抑えつつ、「ウチは光ファイバを引いてるから要らん!」と言って電話を切りました。 「なんだ!失礼な!!」 ブツブツ言いつつ、元の研究に戻ろうとした矢先、また電話が鳴りました。 「おいおい、手紙なんか来てないぞ。」と言いながら受話器を上げました。
「ちわーっす。三河屋で~す。お醤油、切れてませんか?」
先生、怒り心頭です。 「切れてない!」と叫んで電話を切り、頭はブチギレ状態です。 すぐさま三河屋に乗り込んで行って、怒号混じりに、こう言いました。
「ゴルァ! オレに電話をかける時は、手紙を書けって言ってるだろ!! お前ら、分からないのか!!! qあwせdrftgyふじこlp(*1) ……とにかく; お前ら、全然マナーがなっちゃいない!!!! この、無礼者めが!!!!!」
先生は店の中で暴れまわった挙げ句、「もう、分かったよな?」と捨てゼリフを吐いて帰って行きました。 後の残骸には、醤油瓶やビール瓶が割れて粉々になり、床に散乱してました。
さめざめと泣きながら後片づけをしている三平さんを見て、「三河屋さん、大変だったね。」と、ご近所さん達が集まってきて掃除を手伝ってくれました。
近所の人達は口々にこう言います。
A:「あの先生には絶対、電話しない。手紙も出さないよ。」
B:「もう、会わないでおきましょうよ。なんだか怖いわ。」
C:「偉い学者さんだって噂だけど、マナーを知らないね。」
D:「大声で騒げば言うことを聞いてくれると思ってるの!」
E:「そもそも、人として、どうかしら?」
三平さんは云いました。
三平:「悪いのは僕です。僕が手紙を出さなかったから、こんな事になってしまったんです。これから行って、直接、謝ってきます。」
F:「なぜ、そうまでして謙虚な姿勢を貫けるの?」
三平:「いやぁ、ツケが溜まってるんですよぉー。あの先生。」
(おしマイケル♪)
【コミュニケーション・スキル】
さて、本当に謝るべきは、どちらなのだろう?
そして、真のマナーとは?
1つのマナーにこだわり、その他のマナーを忘れる。 多くの人に納得してもらえるマナーを説明し、かつ、広く利用して欲しいのならば、(マナーの)理論を述べるだけでなく、自身の態度や言動にも、より一層の注意を払うべきではないか。
分かりやすく言うと、「三平ごときが、このオレ様に横から口出しするな!」と、呼び捨て扱いで(学者さんが)言ったとしたら、果たして、彼(=学者先生)の言うことを素直に聞こうと思うだろうか?
言葉のひとつひとつを慎重に選んで話さなければ、思想や主張を相手に通すことはできないのである。 思わず云ったひと言が強い影響力を放つこともままあるが、それは例外。
なお、誤読のないよう付け加えると、言葉の表面上だけ取り繕ってもムダであろう。(そんなのは簡単にバレる。)
だがしかし、万人に受け入れられる思想などないワケで、同様に、全員が守れるルールやマナーは存在しない。 「ある」と思うのは実は妄想に過ぎない。 そうは言っても、社会通念上の守るべきルールは当然あるだろうからして、その上に、いや、それ以前に、人と人とのマナーがあるハズなのである。 所詮は理想だったとしても、それは、ある。
賛同者には優しく、反論者には冷たく接する。
相手によって態度を変えたくなる、その気持ちは理解できる。
他人の意見を聴く前に、自分の主張を叶えたいのも分かる。
が、
マナーを守れないのは敵だ味方だって騒いでも無意味だろう?
人はもっぱら、人間を相手にすることしかできないのだから。
いがみ合ってもしょーない、しょーない。
【トラックバックのマナー】
ブログ管理人の中には、「トラックバックを送る前に必ずコメントを書け。」とか、「勝手にトラックバックするのは無礼だ非常識だ。」などとおっしゃる人達が一部おられます。
関連記事「Kakoさんへの返事」
この↑関連記事を読まれた後で、
・手紙→コメント
・電話→トラックバック
と置き換えて、再度、本文を読んでみてください。
はい。 「トラバ送信前のコメント挨拶って、大変だよねー。」と、言いたいがために、ここまで書いてしまった僕はバカです。(笑)
トラックバックは、突然、勝手に送られてくるものです。 同じく、電話も不意に鳴るものです。
「電話の前に手紙を書け」ですって! ナンセンス!! そんなのナンセンス!!! と、叫びたかっただけ。
ではナゼ、こんなにアホみたいに長々と書いたのかと申しますと、「トラックバックのマナーについて語り合う前に、ちゃんと話ができる状況を作りましょうよ。お互いに。」と言いたかったからなのです。
トラバ事前コメント――やりたい人は、どうぞご自由に。
(僕は、しませんけど。)
【汝自身を知れ】
風のウワサによると、この学者さんは、風景写真や綺麗な絵画などを愛でる趣味がおありだそうで、美しい文化・芸術に接しておられる方の心が美しくないはずはない。 きっと、崇高な理想の持ち主であるハズだ。と、思うのであります。 先生は、基本的に親切なお方だと僕は思う。
もう一度云います。 この学者さんは、自分の知識を分け与えようと常に心がけているお人に違いない。と。 そして、それは良い行いなのです。(質問者に合わせた情報深度はあるにせよ、です。)
この学者先生はマジメで、マナーの意識の高い人物だとは分かる。 そりゃあ、マナーは大事ですよ。 人とのコミュニケーションを図る上で欠かせないものです。 ただし、先生は「何か」がズレていると感じますけどね。
もし、この先生が、拙記事「マナーを語るマナー」を読まれたとして、それでもなお、「いや、電話する前には絶対に手紙が必要だ。それが守れないヤツは非常識だ!」と、主張されるようであれば、私はもう何も言えません。
相手が剣を収めてくれないことには、こちらとしても盾を下げることはできませんゆえ。
本当は、「も少し世の中をお勉強したほうが、よろしいのでは?」とか、「こころの余裕(遊び心)が足りてませんね♪」とか、「『バカの壁』を枕の下に敷いて寝てろ!」とか云いたいのであるが、恐ろしくてとても言えませぬ。 こわや、こわや。
逆リンク:
トラックバックに関する雑感2(むだづかいにっき♂さん)
無断リンク禁止ですよ!+(同上)
参考:衝撃発言!!かな?(まるこ姫の独り言さん)
関連記事:
トラックバック☆自分の考え≠他人の考え(マジ☆ぶろぐさん)
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根拠を示せ!と言われたら
(*1)
実践!qあwせdrftgyふじこlp講座(←音が鳴るので要注意です。)
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Comments
電話におけるナンバーディスプレイの役割について
どのように思われますか?
また
それをネット(というかブログですかね)上のなにかに
例えるとなになりすでしょうか?
Posted by: GR | March 22, 2006 06:04 PM
>なになりすでしょうか?
ユウェナリスです。
http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/education/gengogaku4.html
でわでわ。
Posted by: TAKO | March 25, 2006 11:49 PM